「沖展は沖縄県民の春のお祭りですよ。」受話器から聞いたウエチヒロさんのその言葉が思い出されます。
沖展の会場は浦添市民体育館。会場周辺は沖展の旗がいくつも連なり、会場前には売店や仮設ステージも並びます。会場を訪れる人々も迎える側の人々も、一様にみな
にこにこと楽しそうで、和気あいあいとした活気ある空気はまさに祭りのそれです。そこには本土の美術展にありがちな、とりすました雰囲気はありません。沖展は美術を介した沖縄県民のコミュニケーションの場なのでしょう。
出品作のカテゴリも多ければ、会場を訪れる人々も美術家や家族連れ、お年寄りなど多様です。誰もが気兼ねなくゆったりと作品を観賞し語り合っています。
今回で53回を数える沖展はその歴史に於いて戦後沖縄の美術を育んできた場でもあったことでしょう。
壮絶な戦場となった沖縄で、戦後の荒廃のさなか開催された沖展は県民達の励みであり誇りであったと思います。
また、県内唯一の総合美術展であることから、沖展に育てられた美術家も多いのではないでしょうか。
沖縄県民を励まし沖縄美術を育てた沖展が、 半世紀を越えた今も県民に愛され続けているのはとても素晴らしいことです。
沖展は体育館が会場なので、観覧者はスリッパを履き、履物をビニール袋に入れ持ちあるかなくてはいけません。
少々不便ですがなぜか懐かしい思いもあります。
「やっぱり不便でしょう?毎年この件に関してどうにかしてくれと苦情が来るんですよ。」と運営委員の方が教えてくれました。
履物を持つのがめんどうなので苦情も言わずにもう来ない、とうことになりがちなのですが、
毎年苦情を言いながらも 必ず会場に来るなんて沖展が愛されている証拠だな、などと思いました。